朝、コーヒーを飲み、過ぎた日々や来る日々を思いながら、こう自問してください。自分のチームのモチベーションや熱意はどれくらいのレベルだろうか? 自分はチームの協調性や生産性向上をどのように行っているだろうか?
チームが協調していて、チームの To Do リストや目標をクリアしている場合、チームの全員がこの上なく幸せなように感じます。しかし、この好調さは、何かの原因で突然崩れることがあります。ギャラップによる 2020 年のアメリカの職場状況調査によると、アメリカの 1 億人の労働者のうち、意欲的に仕事に取り組んでいるのはわずか 3 分の 1 です。残りの 3 分の 2 の従業員は、意欲を持とうとしていないか、まったく意欲がなく、会社のミッションや成功に真に貢献することを望まずに、ただ仕事をしています。
さて、そう聞いてショックを受け、コーヒーをこぼしてしまったかもしれませんが、それは拭き取れば済むことです。また一方で、成功しているチームの構造、プロセス、特徴もあります。こうした成功例をあなたのチームに活用して、生産性と協調性の高いチームを作り、育ててください。
組織構造の種類とそれぞれのメリット・デメリット
企業やチームの組織構造作りを下から始めるか上から始めるかに関わらず、個人の貢献や専門性に関する明確さと指針を提供し、個人が全体をいかに支えるかを視覚化する必要があります。
ヒエラルキー構造
組織図について考えるとき、おそらくこの構造が最初に頭に浮かぶでしょう。経営幹部が上にいて、その下に管理職が、その下に社員がいるピラミッド構造です。この構造では、指揮系統はトップダウン型で、誰が誰の部下かが明らかです。多くの組織がこの構造でチームを作っているのには理由がありますが、この従来式モデルでは不満や停滞を生み出す恐れがあります。
たとえば、プロジェクトの承認や質問への回答を得るまでに通過しなければならない多数の「官僚的手続き」についてチーム メンバーが不満を言っている場合、そのメンバーはピラミッド型の組織で仕事をしています。
Breathe HR によると、この構造のその他の長所と短所は次のとおりです。
長所 | 短所 |
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ポッド構造
従来型の構造の対極にあるのがポッド構造です。ポッド構造では、チーム作りやチーム管理をより水平的、つまり「フラット」なやり方で行います。
ポッドは、スクワッドとも呼ばれ、命令系統に従うのではなく、正式な管理者のいない自治的、自主的なチームとして機能します。管理者の代わりにポッド オーナーがいて、仕事の優先順位付けに責任を負い、ポッド チームを目標に向けて一致団結させます。ポッド チームを構成する各チーム メンバーは、異なる専門性を持ち、互いに協力して結果を達成するための方法を一緒に決定します。
Janet Choi は I Done This Blog のある記事でこう説明しています。「トップダウンのコミュニケーションは、方向性と目的、つまり、「理由」を提供するのに役立ちます。そして、最善の解決策をいかに見つけるかは少人数のチームで決定し、全員を確実に一致団結させるのは主にチーム リーダーの役目です」
ポッド構造は、生産性、適応性、知識共有、意欲を高めるチーム作りの方法として評判が良く、効果的です。デロイトの調査によると、従来型の組織モデル (すなわち、特定分野における専門知識に基づくピラミッド型の職務階層) が組織の効率を高めると信じている会社幹部はわずか 14 パーセントであり、トップ企業は、柔軟でチーム中心のポッド構造モデルへと移行しつつあります。
長所 | 短所 |
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上記の 2 つ以外に、チーム作りの方法は他にもあり、どの方法を選択するかは、事業、業界、製品、サービスによって異なります。ただし、チームがその構造内でいかにコラボレーションとコミュニケーションを図るかの方が、チーム作りの方法より重要です。そこで、次は、協調性と生産性が高いチームの 4 つの特徴と、あなたの企業内のチームを目覚めさせる方法を探ってみましょう。
協調性と生産性が高いチームの 4 つの特徴
協調的で、生産性が高く、成功するチームと企業の文化を生み出せるかどうかは、いくつかの鍵となる特徴で決まります。面白いことに、社員が企業内でどのレベルにいるかは、成功する優れたチームを作ることとあまり関係がないのが実情です。
ハーバード ビジネス レビュー (HBR) の調査から、協調性が次の 2 つの環境で低下する傾向が見つかりました。1) チームのメンバー数が 20 名を超えたとき。2) チームが、メンバーは 20 名未満でも、複数の場所とタイム ゾーンへと広がったとき。
では、この 2 つのシナリオでは何が崩壊し始めるのでしょうか? HBR による同じ調査では、チームがより複雑になると、「知識を自由に共有し、互いから学び、予期せぬ障害を打破するために柔軟に仕事を再分配し、他のメンバーが仕事を完了させて締め切りを守るのを手助けし、リソースを共有する傾向が、(他の影響がない限り) 低くなる」ことが分かりました。つまり、「協調」しなくなるのです。

チームや企業の規模が大きくなると崩れ始めるこうした主な特徴は、チームの健全性、協調性、さらには生産性に重要な特性と同じです。知識が共有されない場合、誰もプロジェクトやタスクに協力したくなくなります。また、目標が不明確な場合や達成されない場合は、怒り、恨み、不信感が高まります。
リーダーは、協調性と生産性の低下を防ぐために、チームが安心して、かつ権限を与えられて協力できるよう、意図的なプロセス、価値体系、コミュニケーション習慣を生み出す必要があります。
1. 目標に向けてチームを協調させ、役割を明確にする
チームまたは企業の構造を問わず、目標を設定し、その後にチームと個々の貢献者に目標達成への責任を負わせることは、リーダーや管理者の責任です。これは実際には、リーダーが、解決の必要な問題と、期待される成果を伝えることを意味します。チームワークの高い組織には、目標の達成に向けて、問題から解決へと至る道のりを見つけ出そうという意欲が生まれます。
ハーバード ビジネス レビューはこのプロセスを支持しており、その調査から、役割の明確さとアプローチの不明確さが実際には協調性の向上につながることを発見しました。
「協調性は、個々のチーム メンバーの役割が明確に定義されてよく理解されているとき、すなわち、自分の仕事のかなりの部分を独自にできると感じているときに向上する。この明確さがないと、チーム メンバーは、タスクに集中することよりも、役割の交渉や縄張りの維持にあまりに多くのエネルギーを浪費する可能性が高くなる。また、チーム メンバーは、チームの目標達成までの道のりがやや不明確なままの方が、協調したくなる傾向が高い」と Lynda Gratton と Tamara J. Erickson は説明しています。
言い換えると、協調性と生産性の高いチームを作るための第一歩は、目標を設定し、役割を明確にし、何が期待されるかを伝えてから、後は任せることで、チームが最高の仕事をし、期待された結果を達成できるようにすることです。
こうした概念を実行に移すのによく用いられる方法が、OKR 方式で目標を設定、追跡、達成することです。OKR は「Objectives and Key Results」の略で、「目標と主要な成果」の意味です。「目標」では、チームと会社で達成したい結果を詳しく説明し、「主要な成果」は、チームが目標の達成へと向かっていることを把握するための測定可能な指標にします。企業における OKR を最初に始めたのは 90 年代の Google で、その後、Twitter、Intel、LinkedIn、Oracle、アトラシアンなど、他のグローバル企業がこの手法を導入して社内のチームや事業を拡大させました。
2. 解決志向のマインドセットで仕事をする
集団で目標や目的を達成するプロセスは、チームが成果に向けてどう取り組むかで決まります。あなたのチームは、目標を提示されるとすぐに、それを達成できない理由すべてについて話し始めますか?それとも、その実現に向けて取りうる道筋についてのブレインストーミングや話し合いを始めますか?

解決志向のマインドセットの概念は単純で、「チームの全員がモチベーションを持ち、課題に直面したときに『障害』ではなく『チャンス』を見るよう促される」ことです。しかし、もちろん、チームはあらゆる決定のリスクも分析すべきであり、プロセス中にこの分析を怠るべきではありません。解決志向のマインドセットの目的は、チーム全体が、判断を曇らせる消極性を持たずに、知識を共有し、協力して共通の目標を達成することの価値と効果を理解することです。
このアプローチには、チームと企業の文化の心理的安全性が重要です。解決策を特定することや、解決に向かって進むことは困難な場合があるため、チーム メンバーが自信を持ち、処罰や気まずさを恐れることなく、賢明にリスクを取るよう支援されなければなりません。心理的安全性は、この用語を生み出したハーバード ビジネス スクールの Amy Edmondson 教授によりこう定義されています。「自分のアイデア、質問、懸念、過ちを話しても、罰せられたり馬鹿にされたりしないと信じられること」
Google のプロジェクト・アリストテレスのリーダーの 1 人である Julia Rozovsky は、「個人が率直に話せるグループは、チームのパフォーマンスが高くなる」と信じています。しかし、心理的安全性がありパフォーマンスの高いチームを作るのは簡単ではありません。チーム メンバーが、解決に向けた自分のアイデアを建設的に共有する機会や場所を与えられていない場合、コミュニケーションは簡単に崩れ、怒りが天まで届く壁のように積み上がることがあるのです。

心理的に安全な職場につながる 2 つの行動 (対面またはリモート) は、「会話を順番に行うこと」と「共感」です。これをチーム ミーティングや内輪の会話で確実に実践するには、議題に「ネガティブな事項」と「賞賛」のセクションを追加します。チームは毎週、その週の成功と失敗を書き出して共有できます。この実践には 2 つのメリットがあります。成功を賞賛すると、チームの士気が高まり、功を奏していることや、続けるべきことをチームが特定するのに役立ちます。一方で、ネガティブな事項を特定すると、うまくいっていないことをチームで把握でき、解決を実現するにはどのような変更が必要かについての会話を始められます。
そして、誰かに問題や課題がある場合は、推奨される解決策が提供され、話し合うトピックが提示され、全員が解決に向けて協力できるようにすることが期待されていることを明らかにすべきです。
3. 支援を提案・提供する
あなたが学生時代に行った最初のグループ課題では、おそらく、チームが効果的に協力できるという良い印象は得られなかったでしょう。特に、控えめに手を挙げた結果、作業の大半を背負ったメンバーがいた場合には。大学のクラスメートへのこうした偏見や反感が、職場での経験へと簡単に転化されることがあります。

成功するチームに必要な支援は 2 種類あります。管理者またはリーダーからの支援と、チーム自体からの支援です。成功するチームには、明確な期待と目標を設定し、チームの成長と成功を助け、アイデアの交換を促し、対人関係の問題を最小限に抑えるリーダーがいます。そして、チーム メンバーが相互に支え合って課題を解決し、障害を乗り越え、互いを励まし合います。
プロジェクトの計画と管理に Trello を使用することで、チームでは仕事が均等に分配されているかを追跡できます。チーム メンバーが責任を負うタスクを表す Trello カードにチーム メンバーを追加することで、誰が何をしているかを全員が視覚的に確認できます。Melissa は、15 あるタスクのうちの 10 のタスクに取り組んでいるのでは? Kyle は、カード内の拡張チェックリストに記載されている、タスクをより細かく分割したサブタスクの大半を処理している? プロセスまたはタスクを完了させるために、その一部の手助けをできるのは誰?
チームで、誰に負担がかかっていて、どうすればプロジェクトを再編成して貢献者全員に等しく分散できるかを正しく理解するためには、仕事量、さらにはキャパオーバーについても正直でオープンに会話することが不可欠です。
4. 信頼を育み、帰属意識を高める
デロイトのグローバル ヒューマン キャピタル トレンド 2020 調査では、チームや会社への帰属意識を感じている従業員は、職場を快適と感じていて、同僚とのつがなりを感じ、仕事上の有意義な成果に貢献できていることが分かりました。この「快適」という感情は、リーダー、管理者、同僚に尊重され、公正に扱われているという感情だとされています。
この種の信頼と受容の文化を確立している組織は、財務的目標を満たす、または超える可能性が 2 倍、高いパフォーマンスを発揮する可能性が 3 倍、革新的でアジャイルである可能性が 6 倍、優れた業績を上げる可能性が 8 倍それぞれ高くなっています。

デロイトの同じ調査と分析では、最も効果的、協力的、受容的な組織は、次のような環境を確実に整えることで、心地よさ、つながり、貢献を軸とした帰属意識を生み出していることが分かりました。
- 従業員が、自分の考え方が尊重されて評価されていると感じている。
- チームと企業の文化で、誰もが、信頼できる人物となり、自らの多様な見方を共有し、チームと組織の目的に整合するよう奨励されている。
- 従業員が明確なインセンティブとフィードバックを受け取っていて、自分の仕事が共通の目標にどのように貢献しているかが示されている。
Center for Creative Leadership と Reina が行った別の調査によると、信頼がある場合、人は 1 歩前に踏み出して、最高の仕事を協力して効率的にすることが分かりました。この場合、人は共通の目的を介して一致団結し、リスクを取り、枠組みを外して考え、互いに助け合い、率直で正直なコミュニケーションを図ります。一方で信頼がない場合は、人はポジション争いをして情報を独り占めにし、安全策を取ります。そして互いに話し合うのではなく、いない人についての話をするようになります。
信頼と帰属意識が組み合わさると、チームの協調と権限委譲が促されます。リーダーとチームは、「心理的安全性」と「互いを尊重したコミュニケーションの実践」を奨励することに加えて、特に仕事関連のプロジェクト以外で、協力しあって相互に定期的につながれます。
アトラシアンで Trello のマーケティング責任者をしている Stella Garber は、このアプローチを支持して次のように語っています。「リモートの人材をやる気にさせて生産性を高めるには、チームに正しい実践と決まった形式の組み合わせが必要であり、さらに、成功するには、組織内の全レベルに信頼、やる気、透明性が必要である」
以下に、Trello チームが内部で、特に従業員が分散している状況で、オープンなコミュニケーションとつながりを奨励している例をいくつか示します。
- 趣味関連の Slack チャンネル: チームは経験の共有を通じてつながりを感じるため、特定の趣味や会話向けの Slack チャンネルを作ると、つながりを深められます。Slack チャンネルによって自由な会話が促され、似たような趣味を持っている人がいることが分かります。これは、一緒に働く機会があまりない従業員に特に効果的です。
- チーム作り活動: トリビア紹介、読書クラブ、仮想誕生日パーティーなどの業務外の活動を行うと、チームの士気、コミュニケーション、信頼、尊敬を高める際に役立ちます。Keka によると、職場内のコミュニケーション パターンにおけるプラスの変化の 50% は職場外 (または仕事ベースのプロジェクト以外) の社会的交流に起因すると考えられます。
- 毎年のリトリートと社外イベント: チームで直接集まれる、特に多数のメンバーが世界中で働いている場合は、社外イベントとリトリートにより全員を一堂に会して、価値、プロセス、そして会社の目標を軸として企業とチームの方向性を再度揃えるのに効果的な機会となります。
組織の構造から始める協調をチームの文化に
協調性がなければ、生産性向上は図れません。いや、もしかしたら高まる場合もあるかもしれませんが、その場合、1 人のチーム メンバーがおそらく疲れ切っていて、他のメンバーは暗闇に残されたように感じています。
結論としては、チームを作って従業員のモチベーションを引き出すことは容易ではないのです。リーダーと従業員はどちらも、上記の特性を備えられ、これらの特性を自分のチームの構造、ワークフロー、そして文化に活かせます。そして、一貫した協調性と生産性により、行き止まりへとつながる一方通行の道ではなく、誰もが勝者となる双方向の道が生まれるのです。
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