誰にとっても、一日は 24 時間です。
しかし、もし全員が決まった時間だけ働くのであれば、専門的な目標とプライベートの目標を達成するために充分な時間をかけられる人と、毎日増え続ける終わりの見えない To Do リストに追われ、疲れ切っている人がいるのはなぜでしょうか。
その答えは時間管理です。
時間をどのように管理するかによって、一日中忙しく感じても実際には何も達成できないと感じるか、仕事と生活のあらゆる面で達成感を得られ、さらに充分な時間があると感じるかの違いが生じるのです。
しかし、自分が時間を効率的に管理しているか、またその方法で生産性を向上し、さらに目的のある有意義な仕事や生活に意欲的に時間とエネルギーを注いでいるかを確認できる方法はあるでしょうか。この考え方は壮大すぎるように思われますが、日常的な習慣に取り込み、スケジュールや To Do リストを構造化できる方法はいくつかあります。
毎日の仕事にとどまらず生活の中でも時間を最大限に活用するための実践的な戦略をはじめ、時間管理のいろはについて、生産性に関するエキスパートである Tonya Dalton 氏にお話を伺いました。氏は inkWELL Press Productivity Co. の創設者であり、Productivity Paradox ポッドキャストのホストを務め、発売予定の The Joy of Missing Out の著者でもあります。
時間管理とは一体何なのか?
「時間管理」という用語は、生産性の主流となる決まり文句です。ただし、目標達成のためには、時間管理のコツに進む前に、時間管理がどのように定義されているかを明確に理解することが重要です。
時間管理とは、単にものごとの達成量を増やすことではありません。最も重要なことに集中できるように、時間を自分でコントロールすることです。
Dalton 氏は次のように述べています。「時間管理とは、慌ただしく作業をこなし、リストにある数千のものを消化していくことではなく、その瞬間を生きることです。立ち止まり、『この作業は自分にとって必要なものだろうか、本当に重要なものだろうか』と自分自身に問いかけるのです。そうすると、自分のための空き時間を作れるため、一日中詰め込みの状態になるのではなく、実際に余裕を持って仕事を楽しめるのです」
つまり、時間管理とは、日常的な作業をコントロールした状態で、何をすべきか (また同様に重要なのは、何をしなくてよいか)、いつすべきか、それがどのくらいかかるかを把握できていることです。コントロールできている状態であれば、仕事でも仕事以外でも、自分にとって有意義なものにかける時間も生まれるのです。
コントロールするために必要なのは、正しい戦略だけです。
時間管理のコツは、ほんの小さな続けやすい行動なのですが、スケジュールを自分で管理し、自分にとって最も有意義で価値があり、見返りが多いと思われるプロジェクトに時間をかけられるようになります。
時間を自分でコントロールし、生活を取り戻すために活用できる時間管理のコツをいくつか見てみましょう。
費やした時間を記録する
寝る前に「今日は全然時間がなかった」と思ったことがある人はいませんか?🙌🙌🙌
Dalton 氏は次のように述べています。「毎日の忙しさにただ流され、どう時間を過ごすか制御できなくなることは非常によくあることです」
しかし、ただ流されているだけでは、時間を自分でコントロールできません。そこで重要なのが、費やした時間を記録することです。
時間を記録することのコツがわかれば、自分がどう時間を過ごしているか、また特に重要な点として、どれだけ時間を無駄にしているかを明らかにできます。
では、時間を記録することにはどのような効果があるでしょうか?
Toggl や Harvest などの時間追跡ツールを使用して、週全体で時間をどのように使ったかを追跡します。このコツのポイントは、詳細で具体的であるほど、良い結果が得られます。
たとえば、午前 11 時から 12 時まで、さまざまな仕事をこなしていたとします。単に「仕事」とラベルを付けるのではなく、その時間に作業していたことをできる限り具体的かつ正確に掘り下げてみます。15 分は Web サイトのバグ修正に、30 分はメールの返信に、12 分は自分のソーシャル メディア アカウントを見ていたのではないでしょうか。どのような時間の使い方も、まずはすべて分単位で記入してみましょう。
その週の時間を追跡できたら、次にデータを作成し (Toggl と Harvest はどちらもレポート機能を備えており、スケジュールを簡単に可視化できます)、どのように時間を使ったかを厳密に調べます。どれだけ忙しくても、振り返る時間はあるはずです。
「その週がどのようなものだったか、鳥瞰的にじっくりと見てみれば、自分の能力をフルに活用できていない隙間が見えてくるでしょう」と Dalton 氏は述べています。
ポイントは、気が進まないもの、時間のかかりすぎるもの、あるいはほとんどの時間を取られ、意義のある仕事ができなくなることなど、「時間の浪費」になるものを調べることです。
また、注意していただきたいのは、時間の浪費は人によって異なるという点です。誰かにとっては明らかに時間の無駄でも、自分にとっては意義のある時間の使い方になることがあるのです。たとえば、ソーシャル メディアです。一日中、小説を書く代わりにソーシャル フィードを眺めて過ごしてしまえば、それは時間の浪費です。しかし、ソーシャル メディアを使って広告キャンペーンの構想を練ったり、新しい副業のためのつながりや情報を得たりできれば、有意義な時間を過ごしたことになります。
このような時間が無駄と判明したら、カレンダーから除外して、その時間を他のことに充てましょう。時間を浪費したものが不要なものであれば、排除します。業務の中で気の進まない作業に時間を取られているのであれば、その作業を外注します。家事に時間を取られ、待望の事業を開始できないのであれば、家事代行を依頼したり、クリエイティブなことを考えない時間帯に家事をずらしたりします。
鍵となるのは説明責任です。時間記録システムを使用すれば、時間を無駄にすることはありません。後でその週をどう過ごしたかを振り返るときに、必ず明らかになります。
オンラインとオフラインで自動化できるものを探す
効果的な時間管理のコツはもちろん、自動化でしょう。また、自動化はコンピューター上で行う仕事以外にも及びます。Dalton 氏は「私は自動化について、ソフトウェアの観点からだけでなく、オフラインでの作業や定期的に行う作業でも触れています」と述べています。
自動化は、面倒で時間のかかる作業にかける時間を最小限に抑え、その時間を目的のある有意義な仕事に振り分けるための優れた方法です。
オンラインとオフラインの両方で、スケジュールされている作業の自動化について見てみましょう。たとえば、土曜日に混み合う食料品店での買い物のために、週末の時間を取られていないでしょうか。その食料品店で配達してくれないか、Instacart のような配達サービスを利用できないか、さらに買い物を代行してくれる人がいないかを調べてみましょう。同じ顧客から一日何通も届くメールの返信に時間を取られていないでしょうか。毎回、受信ボックスに届くたびに最初から返信するのではなく、テンプレートを作成しましょう。
ポイントは、時間がかかる割に繰り返しの多い作業を自動化するほど、スケジュールを空けられる時間が増え、真に重要な作業に時間をかけられるということです。
生産性を上げる朝の習慣のための時間を作る
一日の始まりでその日が決まります。そのため、一日の始まりから忙しく、負担が多いと感じると、その日は一日中忙しいままになります。しかし、逆も真なりです。一日の始まりから目的が明確であれば、その日は一日、目的に向かって過ごせます。
Dalton 氏は次のように述べています。「朝の習慣はすぐに絶大な効果として現れます。実際に一日の行動を始める前、他の人がまだ眠りについている間に、すでに大きく一歩先を行けるのです」
起き抜けにメールをチェックして慌ただしくオフィスに駆け込むのではなく、アラームを少し早めにセットして、自分のための時間を作りましょう。朝の習慣では、自分がくつろいで充実した時間を過ごし、一日の準備ができるのであれば、何をしてもかまいません。
Dalton 氏でも、その多忙なスケジュールの中で毎朝、子供たちを起こして仕事に取り掛かる前に自分の時間を取ることは欠かせません。そして朝の習慣の直接的な成果として、氏はその生産性が高められただけでなく、最初の本の執筆という大きな目標も達成できました。
「私は毎週、ポッドキャスト配信を行っています。また事業を営み、家族がいて、さまざまなことを多数こなしながらも、本を執筆できました。わずか数か月で本を執筆できたのは、朝の習慣として集中して取り組んでいたからです」と Dalton 氏は述べています。
生産性を高める朝の習慣を身に付ける方法がわからなければ、『朝時間が自分に革命をおこす 人生を変えるモーニングメソッド』(ハル エルロッド著) の SAVERS 習慣を試してみると良いでしょう。SAVERS は silence (静けさ)、affirmations (自己肯定)、visualizations (ビジュアライゼーション)、exercise (運動)、reading (読書)、scribing (書く、ジャーナリング) の頭文字をとったものです。この 6 つの実践によって 一日を過ごすための準備を整えられます。一日を意欲的にスタートできれば、そのまま一日中集中しやすくなります。
ここ一番での断り方を身につける
今日の文化では、常に忙しく働くことが称賛されます。しかし、スケジュールを埋め尽くしても、より優れた成果を得られるものではありません。実際には、忙しさから 「せっかち病」になり、燃え尽き症候群やその他の生産性低下を招きかねません。
Dalton 氏は次のように述べています。「忙しくなければ、自分は何かが衰えている」と考えがちです。現代の社会では、忙しさが讃えられます。頑張ることは褒められますが、忙しいことが生産的であることにはならず、まして、幸せであることにもなりません。単に、一日中空回りして自分の尾を追いかけているだけなのです」
自分で時間をコントロールしたいのであれば、断れる人間になることです。自分は断れない人間だと思うのであれば、自分を変える必要があります。
たとえば、新しいクライアントと仕事をする機会があっても、そのプロジェクトに取り組む余裕がないとします。新しいクライアントに断りを言うことを考えるより、自分の子供と過ごす時間や、すでに組んでいる別のクライアントとの仕事を優先することを考えましょう。
Dalton 氏は次のように述べています。「何かチャンスがあると、そのチャンスが一度きりのように思い、断ることに罪悪感を覚えがちです。しかし、毎回断らずにいれば、家族と過ごす時間を否定することになります。本当に幸せになるという目的や、情熱を注いできたプロジェクトを否定することになるのです。そのためには、はっきり断るだけではなく、大切なことを肯定することが非常に重要です」
断ることは、最初は気まずさを感じますが、自分に適していないものを断っていくにつれ、大切なことに時間をかけられるようになります。
適切なツールに時間をかける
自分で時間をコントロールするにはさまざまな方法がありますが、そのためのツールも (そのほとんどが無料で) 多数提供されています。
誰もが経験があると思いますが、YouTube の面白い動画視聴に時間をかけすぎていないでしょうか? Freedom を使えば、時間を浪費するような Web サイトへのアクセスをブロックできます。さまざまなソーシャル メディアのサイトへのコンテンツ投稿に時間がかかるのであれば、ソーシャル メディア管理ツールを使えば、複数のソーシャル ネットワークへの投稿を一括して行えます。プロジェクトや、やるべきことの進捗管理に手間がかかり、そのために膨大な時間を無駄にしてしまっているのであれば、Trello を使ってボードを作成すれば、外出先でも使いやすいプラットフォームからすべてのプロジェクトを管理できます。
つまり、最も強力で簡単な時間管理のコツは、適切なツールを使用することです。(無料の) 生産性向上スタックの設定に少し時間をかけてみましょう。
賢く時間を使いましょう
一日の時間は充分ありますが、適切な時間管理戦略がなければ、その時間を無駄にしてしまいます。Dalton 氏は、「すべてのことをやり遂げようとすると、最終的には何も達成できません」と述べています。
しかし、このような時間管理のコツがわかれば、スケジュールを自分でコントロールして、目的を持って時間を使えます。また、すべてのことをこなす時間がなくても、すべての重要なことに取り組む時間はとれるようになります。一日の中で、この時間で何を達成できるでしょうか?
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